Partager

40話 傲慢な女王

last update Date de publication: 2026-03-01 06:22:36

早速、湊が行動に移してくれる。私と高嶺遼大はそれに合わせて動く事にした。

「上手く誘えそう?」

そう聞くと湊がスマホを見ながら頷く。

「大丈夫そうだ、今夜、これから食事に行く事にする」

湊はスマホから顔を上げ、苦笑いして言う。

「これからくるみにあげるプレゼントを探さないと」

そう言う湊に私も苦笑いする。

「それなら新作のバッグとかで良い気がするけどな」

そう言ったのは高嶺遼大だ。

「確かにそうね、それならくるみのご機嫌も良くなりそうだわ」

湊は溜息をついて、苦笑いのまま言う。

「さっき、くるみが来た時にちょっと冷たくあしらったから、ご機嫌取りしておかないと」

そう言う湊に同情する。

「仕事の事で頭がいっぱいだったとか何とか言えば、機嫌直るんじゃないか?」

高嶺遼大が軽い口調でそう言い、腕を組む。

「俺の見立てじゃ、これ程の罠を仕掛けられるくらいには頭は回るが、ことさら、男に関しては詰めが甘い気がするからな」

そう言われて笑う。確かにそうかもしれない。

「今日、森崎家に行った時、愛沢くるみは俺に媚を売るような態度だった。この聖カトリーナで間接的にではあっても、俺に怒鳴られたっていうの
Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application
Chapitre verrouillé
Commentaires (1)
goodnovel comment avatar
雨音休
いやー、良いっすね(笑)
VOIR TOUS LES COMMENTAIRES

Dernier chapitre

  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   284話 カフスとネックレス

    「少し歩きましょうか」沈黙に耐えられず、そう声を掛ける。御堂院静香が頷く。平日の帝国ホテルの庭園は、ほとんど人が居ない。「……賀神さんが時折、国内に戻って来ているのは知っていたんです……」御堂院静香がそう話し出す。「でも会いに行く口実が無くて……」そう言われて胸の奥にしまい込んだ傷が疼く。学生時代 ――私は御堂院静香と交際をしていた。二人で歩き、二人で出かけ、食事をし、語り合った。時間が空けば会いに行き、誕生日もクリスマスも一緒に過ごし、互いにプレゼントも贈り合った。「これ、私の宝物なんです……」そう言って御堂院静香が私に見せたのは、私が学生時代に贈ったネックレスだった。まだ学生で子供だった私が懸命に選んだネックレス。今、見るとデザインも幼く、古臭く、野暮ったい。「そんな昔のものを……」私は喉の奥を突かれたように苦笑する。苦笑しながらも私自身、彼女から贈られたものは捨てられずに持っている。今も私のジャケットの内ポケット、心臓に一番近い場所には彼女から貰ったカフスボタンが入っている。それを見せるべきか否か、迷って止める。今更、こんなものを見せたところで、何も変わらない。「当時は私もまだ子供で、父に言われた事に従うしか無かったんです……」御堂院静香がそう言う。それはそうだろう。大病院の一人娘なのだ。相手はその病院を継ぐ事になる。人選が厳しくなるのは致し方ない事だ。「お父様も気が気じゃ無いでしょうね」少し笑いながらそう言うと、御堂院静香が静かに言う。「私がその後、お見合いを断り続けて、誰ともお付き合いをせず、無理な婚約話も出ましたけど、それもずっと拒否していたので、最近は丸くなったんですよ」ゆっくりと歩きながらそう言われて少し笑う。「そうですか」そう返事をしながらも、私は彼女の父上に言われた事を許せていないのだなと思う。「賀神さんもまだご結婚の話も、誰かと交際されているというお話も聞きませんけど……」御堂院静香がそう言って口ごもる。その先の言葉は容易く想像出来た。高嶺の言葉が頭の中によみがえる。逃げているだけじゃ解決しない確かに高嶺の言う通りだった。そして御堂院静香の言うように、私もまた、過去に囚われ、誰とも交際もせずに独身でいる。それはひとえにやはり、御堂院静香の存在が大きかったからだ。それを認め、前に進むべき時な

  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   283話 籠の鳥

    「高嶺のお祖母様」そう声を掛けられ、お祖母様と共に振り向く。そこには一人の女性が立っている。御堂院静香だ。大病院の令嬢らしい、清楚な白いワンピース姿。思っていたよりも柔らかい印象。「静香さん」お祖母様はそう言って微笑み、御堂院静香を招く。「さぁ、こっちへ」そう言ってティーラウンジへと入って行く。席に着き、御堂院静香と向き合う。今はまだ俺の隣にお祖母様が居る。だから話を聞き出すのはもう少し後だ。その場で軽い自己紹介と、当たり障りのない会話をする。お祖母様はそれを見届けて言う。「遼大、少しホテルの庭園を歩いて来たらどう?」そう言われて俺は立ち上がる。「そうですね」帝国ホテルの庭園に出る。二人きりになったタイミングで、どう切り出そうか考えていると、御堂院静香が言う。「高嶺さん」言われて御堂院静香を見る。「無理やりお見合いなんてごめんなさい」そう言って御堂院静香が頭を下げた。急な事で驚いていると、御堂院静香が頭を下げたまま言う。「今回のお見合いは私が父に頼んでお願いしたんです」そう言われて俺は眉を顰める。「頼んだ……?」御堂院静香はゆっくりと頭を上げると、その顔に悲し気な笑みを浮かべて言う。「私は東都メディカルの娘です、だから結婚相手は自分自身では決められないんです。全て父が決めます。病院の為、家の為……相応しい人を、と」大病院を経営している人間の考えそうな事だ。「私には心に決めている人が居るんです。その人も天才です、何の申し分も無い、けれど父はその人が好きでは無いんです……」そう言われてピンと来る。御堂院静香が好きな男に心当たりがあった。「私は籠の中の鳥なんです。決して抜け出せない……」そう言って俯く御堂院静香が顔を上げる。その瞳に涙を浮かべて。「だから今回、高嶺家と縁談の話が持ち上がった時、これが最後のチャンスだと思いました……」俺はふっと笑い、言う。「賀神、だな?」そう聞くと御堂院静香は一瞬、驚き、そして微笑む。「そうです」だから賀神は御堂院静香の名が出ると、いつも何か含みのある顔をしていたんだなと思う。賀神と御堂院家にどんな確執があるかは俺には分からない。だが協力は出来そうだ。俺は御堂院静香に微笑み、スマホを出す。連絡先に登録されている賀神に電話を掛ける。「あ、賀神か? 悪い、ちょっと帝国ホテル

  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   282話 見合い

    賀神さんがオフィスに戻って来る。「高嶺、戻っていたのか」賀神さんが遼大にそう言う。「あぁ、ついさっきな」そう言って遼大が苦笑する。「どうだった? 愛沢くるみは」遼大がそう聞くと賀神さんは湊の横に座り、大きく息をつく。「頭痛は一過性のものと見て、間違いないでしょう。おそらくは記憶を取り戻している最中の、副作用」そう言われて納得する。「まぁ、そうだろうな」遼大が少し息をついてそう言う。私は賀神さんに聞く。「それで? 話は聞けた?」そう聞かれた賀神さんが苦笑する。「いえ、口は割りませんでしたが、怯えている様子でした」そう言われて遼大と顔を見合わせる。(愛沢くるみが怯えている……)愛沢くるみはどんな時も自信満々で、誰よりも計算高く、狡猾だ。そんな彼女が怯える……?そう考えながら私は私に愛想良く笑って見せた愛沢くるみを思い出す。まさしく無垢そのものだった。性格が曲がる前の愛沢くるみは、ああいう人だったんだろう……そう思えた。だからこそ、自身の頭の中に埋もれている記憶が呼び覚まされた時、流れ込んで来る醜悪さに怯える事は有り得るのかもしれない。「これから注意深く観察しないといけないな」遼大がそう言う。「そうね、私もそう思っていたところよ」私がそう言うと、湊が不意に口を開く。「今、仮に愛沢くるみの記憶が蘇っているとして。そのタイミングで俺や燈が接触するのは、記憶の回復を早める効果があるかもしれない」湊がそう言うと、賀神さんが頷く。「その可能性は高いでしょうね」そう言われて私は少し笑う。「善良な愛沢くるみと、邪悪な愛沢くるみ……勝つのはどっちなんでしょうね」私がそう言うと遼大が鼻で笑う。「その人間の本質なんて変わらないさ」愛沢くるみは今までずっと、自身の生い立ちや私への嫉妬が原因で、性格を歪めて来ている。私から何もかもを奪う為に、文字通り、彼女は何でもした。それが自身の体を売る事であっても、人殺しであっても。「それで? 高嶺の方はどうなったんだ?」賀神さんが聞く。今度は遼大が苦笑する番だ。「明日、御堂院静香に会うよ」ほんの少し引っ掛かり。御堂院静香の名前が出る度に感じる、賀神さんを包む空気の変化。賀神さんは少しだけ微笑み、言う。「そうか」それを見て遼大が言う。「お祖母様の顔を立てるだけだ」賀神さん

  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   281話 拒絶

    身体を売っている……!?自分の頭の中でよみがえって来る言葉の数々が私を襲う。一体、何の事なの?私が身体を売るって何なの?「愛沢さん?」佐伯燈にそう声を掛けられ、ぞわっとする。(何なの……この感覚……)私は懸命に堪えながら、取り繕うように言う。「少し頭が痛いんです、なので一人にして貰えますか?」そう言うと佐伯燈が私の肩に触れて言う。「診ましょうか?」そう言われて私は思わず佐伯燈の手を払う。「止めて!」そうして私は我に返る。ハッとして、佐伯燈を見て言う。「ごめんなさい……その……」そう言った時、佐伯燈の後ろに控えていた医師が言う。「私が診ましょう。佐伯顧問」その人を見上げる。(この人、誰……?)こめかみを抑えながら彼を見る。眼鏡をかけ、冷たい印象の人。「行こう、燈」久遠湊がそう言う。◇◇◇オフィスに戻ると、遼大が待っていた。「燈」遼大はそう言って私に微笑む。「遼大」私は遼大に駆け寄る。遼大はそんな私の腰を抱き、言う。「愛沢くるみはどうだった?」そう聞かれて私は言う。「千堂理から研究の話を聞いたの。それで嗅覚を刺激するのが良いんじゃないかって話になって」私がそこまで言うと、遼大が苦笑する。「だからこんなに甘い匂いがするんだな」普段、私は香水などつけない。医師であれば、勤務中に香水など、もっての外だからだ。「それで?」遼大は私に座るよう促し、聞く。ソファーに座りながら言う。「愛沢くるみはこの香水を嗅いで、やっぱり様子がおかしくなった」そう言うと遼大が聞く。「おかしくなった?」そう聞かれて私は頷く。「えぇ、頭が痛いと言い出して、それから、何かを思い出したように眉間に皺を寄せていたわ」遼大は何かを考えながら呟く。「やはり嗅覚が刺激になったか……」一緒に戻って来ていた湊が私たちの向かい側のソファーに座る。「あれは確実に何かを思い出していたと、俺もそう思います」湊にそう言われて遼大が頷く。「今は賀神さんが愛沢くるみの頭痛について、診ているわ」私がそう言うと遼大が聞く。「賀神が?」そう聞かれて私は苦笑する。「私は拒絶されたの」そう言うと遼大が眉間に皺を寄せて聞く。「拒絶された?」そう聞かれて頷く。「えぇ」湊が溜息をついて言う。「きっと記憶の中の何かによって、拒否反応が出た

  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   280話 フラッシュバック

    愛沢くるみの病室に行く前に、私たちはすり替え用に調合した偽の香水を用意する。まずは嗅覚を刺激する事にしたのだ。(これで何か反応が出ると良いけれど……)そう思いながら私は賀神さんや一条和輝、湊と共に愛沢くるみの病室を訪れる。「先生! 今日はたくさん、お医者様が集まってるんですね」愛沢くるみは屈託のない笑みでそう言う。(どの程度、近付けばこの香水の匂いが届くのかしら)そう思いながら私は愛沢くるみに近付き、その間も愛沢くるみの様子を注意深く観察する。「一条先生よ」私がそう言って一条和輝を愛沢くるみに紹介する。愛沢くるみは一条和輝を見て微笑み、小さく会釈した。「はじめまして、愛沢といいます」愛沢くるみの記憶が確かなら、一条和輝を見て、何らかの反応がある筈だ。それは演技をしていても見抜けるくらいの経験が私にはある。けれど愛沢くるみは本当に初めて出会ったような顔をしている。「一条です」一条和輝はそう言って完璧に微笑み、動揺を見せない。そう言う意味では一条和輝は肝が据わっている。(やはり“人”ではダメなのね)そう思いながら私は一歩、愛沢くるみに近付く。ふわっと甘い香りが周囲を包む。その香りが愛沢くるみにまで届いたのだろう。愛沢くるみが一瞬、微笑む。「この香り、すごく甘いですね……」そう言った次の瞬間には、顔を歪める。愛沢くるみは目を強く閉じ、眉間に皺を寄せて何かを呟く。「何、何なの……何……」(効果があったようね……)やはり嗅覚の刺激が一番、記憶を呼び覚ますのに有効だった。「どうしました?」私が近付きながらそう言うと私の差し出した手を愛沢くるみが払う。「近付かないで!」そう言われて私は注意深く愛沢くるみを観察する。(思い出したの?)そう思いながら私は愛沢くるみの反応を待つ。愛沢くるみは眉間に皺を寄せたまま、こめかみを抑えている。◇◇◇甘い香りが鼻をつく。最初は甘くて良い香りだと思った。けれどそれを嗅いだ次の瞬間には頭痛がして、頭の中に映像がよぎる。最初に見えたのはどこかの工場のような場所で私が寝かされていて、拘束されているところだった。嫌がる私に真っ白な髪の男が何かしようと手を伸ばしている。次に見えたのはどこかの家の中で同じように拘束され、何かを点滴され、幸せな夢を見ているような感覚になった事……。次々に変わる場面。

  • 跪くのはあなたです 流産の夜、私を選ばなかった夫は五年後、後悔する   279話 お祖母様

    お祖母様の声の方へ向かう。そこは応接間で、俺は入る前に立ち止まり、短く息を吐く。意を決して扉を開ける。広がった懐かしい風景。(ここは変わらないな……)そう思い苦笑しながらソファーに座っているお祖母様を見る。お祖母様は俺を見て微笑み、そして言う。「こっちに戻って来ているなら、どうして私の元に顔を出しに来ないの?」そう聞かれて俺は苦笑したまま言う。「色々と忙しかったんです」俺がそう言うとお祖母様は諦めたように微笑み、そして手を差し伸べる。「可愛い孫の顔を見せて」そう言われて俺はお祖母様の元に行く。お祖母様は俺を見て言う。「座りなさい」そう言われて俺はお祖母様のすぐ隣に座る。「私からの連絡ですぐに来た、という事は縁談の件で来たのよね?」そう聞かれて俺は頷く。「そうです」お祖母様はテーブルの上に置かれたファイルを指差す。「それが御堂院家の令嬢の写真よ」そう言われたが俺はそれを見ずに言う。「俺にはもう相手が居ます」俺にそう言われたお祖母様は溜息をつき、言う。「えぇ、知っているわ。佐伯燈でしょう?」そう聞かれて俺は頷く。「そうです」お祖母様はまた溜息をつき、そして手を差し出す。差し出されたその手の上に別のファイルが載せられる。高嶺家の執事、篠山がお祖母様の手に載せたのだ。「佐伯燈の事は調べたわ」お祖母様はそう言って、俺にそのファイルを差し出す。俺はそれを受け取り、開いてみる。中には燈の基本的な情報から、今までの人生の記録が載っていた。「佐伯燈はあなたには相応しくないわ」お祖母様がそう言う。「家柄は問題ない、けれど、その後が問題よ」お祖母様は俺を見て、その強い光を瞳に走らせる。「医療過誤の問題に離婚歴、流産までしているじゃないの」そう言われて俺は笑ってファイルを閉じる。「それが何です?」そう聞くとお祖母様は俺に鋭い視線を投げて来る。「高嶺家は由緒正しい家柄よ。家門に傷をつけるような女は高嶺家には相応しくないの」そう言われて俺は肩をすくめる。「それなら俺が高嶺を出れば、問題解決ですね」俺にそう言われたお祖母様は息を飲む。「……本気で言っているの!」そう言われて俺は笑う。「誰にこれを見せられたのかは知りませんが、これは真実ではありません。燈は嵌められたんです。医療過誤も罠だった。今はその件について、問

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status